聴講者として、スタッフとして。2つの体験から振り返るtry! Swift 2026
執筆者
田中:RIZAPテクノロジーズでchocoZAP iOSアプリ開発を担当。聴講者として参加。
並木:RIZAPテクノロジーズでchocoZAP iOSアプリ開発を担当。当日スタッフとして参加。
こんにちは!RIZAPテクノロジーズでchocoZAP iOSアプリ開発を担当している田中と並木です。
今回は2026年4月12日~14日に開催されたtry! Swift 2026に、それぞれ異なる立場で参加してきました。田中は聴講者、並木は当日スタッフとして参加しました。2人それぞれの視点から、カンファレンスのようすをお伝えしていきます!
聴講者として参加するtry! Swift
今年も昨年に続き、会場は立川ステージガーデンでした。しかし昨年と異なり驚いたポイントは、ホールの開放感。なんと背後の壁面を取っ払って屋外と地続きにするという斬新な会場レイアウトになっていました。屋外はスポンサーブースとなっていて、ホールで着席せずともブースを回りながら、他の参加者とコミュニケーションしながらもホールのセッションを聴講できるという設計になっており、とても素晴らしい体験でした。

また、スポンサーブースでは例年お馴染みの各社がさまざまな企画を展示していました。AIによる仕事環境の変化や、iOS開発では今最も注目されている「Liquid Glass」に関するアンケートを行っていたのが印象的でした。またブーススタンプラリーにも参加でき、2日間かけて全ブースを巡り景品をいただくことができました。

セッションのトークテーマについては、AIが開発プロセス全体に浸透する過渡期にありながらも、さまざまな技術領域や、デザイン・アクセシビリティに関するものもあり、とても聞き応えがありました。なかでも印象的だったセッションをご紹介します。
SwiftUIってなんでこうなるの?
Why is SwiftUI like that?
発表者:Paul Hudson さん
SwiftUIで画面実装をする際に、漫然とコード記述しているだけでは意識できない暗黙的なレイアウトルールについての解説。同氏の著書である「Pro SwiftUI」にも詳解されている内容で、Viewとmodifierの階層関係、内部的な型表現、明示的/構造的なView.idとアニメーションへの応用など、明日から開発に応用できるエッセンスばかりで、良い復習の機会になりました。
実践CRDT:Core DataとCloudKitによるリッチテキスト同期モデルの構築
Practical CRDT: Building a Rich Text Synchronization Model with Core Data and CloudKit
発表者:Kazushi Oenoki さん
NotionやFigmaに代表されるような複数ユーザーでコラボレーションしながらドキュメントを作成・編集するツールに不可欠な、コンフリクトを起こさず同時編集を実現する技術の解説。CRDT(Conflict-free Replicated Data Type)というデータ構造により文字単位でノード管理をするという、想像のはるか上をいく泥臭い内容でした。これをCore Data/iCloudで実装する方法も紹介されており、大規模データを扱う際の省メモリ・高パフォーマンスのための技術的なアプローチが興味深かったです。
思いやりという技術
The Art of Caring
発表者:Klemens Strasser さん
プロダクトの「美しさ」「楽しさ」に、アクセシビリティの観点をどう融合してきたかという、インディデベロッパーとしての体験談。Appleは視覚・聴覚を含む多岐にわたるアクセシビリティ機能を提供していますが、それらを駆使するだけでは不十分だと思い知らされました。セッションで紹介されていた「Art of Fauna」は絵並べゲームですが、これを視覚障害者でも楽しめるようにするにはどうすれば良いか、答えに至るまでの発想プロセスが紹介されていました。2日間のセッションの中でももっとも感銘を受けた内容でした。
時系列は前後しますが、初日のワークショップにも参加してきました。前述のPaul Hudsonさんが講師を務めるパフォーマンスチューニングを題材にしたもので、座学で開発ツールを用いたパフォーマンス計測方法を学んだ後、他の参加者とグループを組んでパフォーマンス改善の宿題に取り組むという内容でした。国際カンファレンスらしく海外からの参加者が半分を占める中、デンマークの方とペアを組んでアイデアを出し合いながら、限られた時間でなんとか課題に食らいつきました。

2日目の夜はアフターパーティも開かれ、とても賑わっていました。(昨年は途中から雨が降りましたが、今年は天気に恵まれました。)
イベントを成功に導くスタッフの体験

スタッフとして当日を迎えるまで
昨年、try! Swiftに聴講者として初めて参加し、多くの刺激を受けました。その後、iOSDC Japan 2025にスタッフとして初参加したことでカンファレンスを支える楽しさも知り、今年もどこかでスタッフとして関わりたいという気持ちが自然と芽生えていました。
今年に入ってtry! Swiftのスタッフ募集を見かけたとき、try! Swiftにどんな形で参加しようか迷いましたが、「今度は支える側として関わってみたい」という思いが後押しし、スタッフへの応募を決意しました。
スタッフ参加が決まってから、3月中旬に顔合わせと説明会を兼ねたミーティングがあり、担当業務の発表と当日の動きについて確認しました。
そして迎えた、前日の夜。立川に前日入りし、緊張と楽しみが入り混じった気持ちで翌日に備えました。
スタッフとして過ごした1日
スタッフとしての最初の業務は開場準備でした。今回のtry! Swift 2026はワークショップも含め3日間開催されましたが、スケジュールや業務の関係上最終日のみの参加でした。そのため、初めてスタッフの方々と対面し、事前に説明は受けたものの、最初は少し戸惑いもありました。ただ、過去のスタッフ経験を活かして「わからないことはすぐ聞く」「周りを見て動く」を心がけて動いたことで、少しずつ馴染むことができました。
当日はVenue & Usherというポジションにアサインされました。業務は大きく「定常タスク」と「シフトで運用するタスク」の2種類に分かれていました。
定常タスクとして私が担当したのはホール管理です。セッション会場内の状況を見守り、何かあれば対応する役割で、空席があれば少しでも多くの方がセッションを聞けるよう席詰めの案内をしたり、セッションの入れ替えタイミングで忘れ物がないか確認したり、ホール内への飲食の持ち込みに注意をしたりと、細かな気配りが求められる仕事でした。
また、チーム共通のタスクとして、スピーカー控室など特定エリアへの入退室を管理するアクセス管理もありました。


他のポジションのサポートも含め、参加者が安心してセッションに集中できる環境を陰で支える、目立たないものの、実はとても大切な役割だったと感じています。
私が今回担当したタスクの特性上、基本的に単独での対応が中心でした。その分、シフトの交代や休憩の隙間時間には積極的に同じ担当のメンバーはもちろん、他のポジションのスタッフにも声をかけるよう心がけ、スタッフ同士のつながりを少しずつ広げていきました。
気づけば時間が経っていて、無事にクロージングを迎えることができました。

参加者が退場したあとは撤収作業に移りました。当日のスケジュールが少し押してしまい、完全撤収までの時間が短くなりましたが、足りないところへすぐ駆けつけるなど臨機応変に動き、無事に片づけを終えることができました。あっという間の1日でしたが、終わったときには確かな達成感がありました。
開催終了後は、立川駅から徒歩2分のカンテラ(PIZZERIA NAPOLETANA CANTERA)というお店でスタッフ打ち上げがありました。昨年も同じお店が使われたとのことで、何種類ものピザがどれも美味しく、雰囲気もよかったです。

この日初めて話す方はもちろん、iOSDC Japan 2025のスタッフ仲間との再会もあり、iOS開発やAI活用の話から今の時代のエンジニアとしてのあり方まで、幅広いトピックで盛り上がり、とても有意義な夜でした!

聴講者から支える側へ——新しい立場で得た学びと成長
今年スタッフとして立ってみて初めて気づいたのは、昨年聴講者として感じたあの充実した体験が、誰かの目立たない積み重ねで成り立っていたということです。Venue & Usherは、外から見ると目立たないポジションかもしれません。ただ実際に立ってみると、会場を預かるという責任感を感じましたし、一つひとつの対応の積み重ねがカンファレンスを成立させているのだと実感しました。
また、Venue & Usherは参加者と直接コミュニケーションをとる場面が多く、国際色豊かなtry! Swiftならではの英語での会話も少なくありませんでした。昨年、聴講者として参加したときに感じた「英語でのコミュニケーションが難しい」という壁は、今年も完全には取り除くことはできませんでしたが、今年は、翻訳ツールに頼りきりにならず、なるべく自分の言葉で伝えることを意識しました。うまくいかない場面もありましたが、それでも踏み込んでみることで、自分なりの成長を感じることができました。
それと同時に、iOSDC Japan 2025のスタッフ経験で感じた「目立たなくても欠かせない役割の重さ」を、try! Swiftでも改めて実感しました。これは日々の開発業務にも通じると思っています。派手ではない細かな修正やUI改善も、そこが欠けてしまえばユーザー体験は確実に損なわれます。目立たないからこそ見えにくいですが、だからこそ大切な仕事なのだと、改めて気づかされました。
まとめ
昨年は当日スタッフをしましたが、ここ数回のtry! Swiftは全日程の聴講が叶わない年が続いたため、一般枠で参加しました。スタッフとして関わったカンファレンスもとても刺激的で良い思い出でしたが、オーディエンスとしてセッションを聴講し、Ask the Speakerで登壇者とお話し、そして国内外問わず参加者の方々とコミュニケーションでき、try! Swiftの醍醐味を味わい尽くせた3日間になりました。改めて運営・スタッフ、スポンサーのみなさまに感謝です!(田中)
今回スタッフとして参加したことで、try! Swiftというコミュニティに新たな仲間として加わることができました。iOSDCとtry! Swiftは別々のコミュニティでありながら、参加者やスタッフが自然と重なり合っていて、コミュニティをまたいで顔見知りが増えていく感覚がありました。継続して複数のコミュニティに関わり続けることで、再会できる顔が増え、会話の深みも増えていき、エンジニアコミュニティならではのつながりの広がりを今回改めて実感しました。そして、この1日を通じて、「やっぱり裏方で支えるのが好きだ」という気持ちも改めて感じました。来年もまた、try! Swiftに何らかの形で関わっていけたらと思っています!(並木)