育てる力がDXを動かす ― RIZAP流・エンジニア育成ノウハウ【RubyWorld Conference 2025登壇レポート】
2025年11月、島根県松江市で開催された RubyWorld Conference 2025 にて、RIZAPテクノロジーズの梅田が登壇しました。
RIZAPテクノロジーズとしては2年連続の登壇となり、昨年は新井が「chocoZAPにおける1年間の高速化とリファクタリングの実践」について発表しました。
今年のテーマは、「DXを加速させる“Ruby人材育成の鍵” ― 新卒9割超の開発組織を支える、育成ノウハウの裏側を徹底解説」。
この記事では、当日の登壇でお話しした内容を改めてご紹介します。
“IT企業ではなかった”RIZAPの挑戦
RIZAPがDXを本格的に立ち上げた当初、社内にはエンジニアが一人もいませんでした。当然ながら、テックカンパニーとしての知名度もなく、即戦力となるエンジニアの採用には大きな壁がありました。
それでもDXを自ら推進するために、「ポテンシャル人材を採用し、自社でエンジニアを育てる」という決断をしました。
この方針を貫いた結果、3年間で開発組織のメンバーが100人以上増え、組織を急拡大させることができました。
特にRubyのバックエンドエンジニアは、9割以上がポテンシャル人材という組織へと成長しています。
プログラミング未経験から、カンファレンス登壇まで
私はもともと、商品開発を担当していた非エンジニアでした。当時はプログラミングに触れたこともなく、パソコンはメールやブラウザを使う程度。
そこからRIZAPの育成プログラムを受講し、エンジニアへと転身しました。
そしてわずか3年でRubyWorld Conferenceに登壇できたことは、RIZAPの育成文化を象徴する出来事だと感じています。
今回の発表は、これまで自分が取り組んできた育成の実践を、そのまま形にして伝えられた場でもありました。
余談になりますが、9月には Kaigi on Rails 2025 にも登壇をさせていただき、今回で2つのRuby系カンファレンスに続けて登壇するという貴重な経験となりました。
根底からとことん理解するのがRIZAP流

私自身がエンジニアへと成長できた背景には、RIZAPが独自に築いてきた育成の仕組みがあります。
ここからは、RIZAPがどのようにエンジニアを育てているのか、その具体的な取り組みをご紹介します。
たった1行のコードに、16時間以上をかけて教育!?
RIZAPの育成プログラムを象徴するのが、この1行です。
resources :usersRIZAPでは、このたった1行の理解に、16時間以上かけて教育を行います。
表面的な理解で終わらせず、背景にある思想まで掘り下げていくのです。
コードの外側まで理解を広げる
最初に学ぶのは、この1行が担う機能です。
どのリクエストが、どのコントローラーのどのアクションに紐づくのか――ルーティングという仕組みを理解するところから始まります。
しかし、それだけでは「本質を理解した」とは言えません。
リクエストはどこから届くのか。そもそもWebはどのような仕組みで動いているのか。
Web全体の構造やHTTP通信の流れを体系的に学ぶことで、ルーティングという機能に対する理解はより深まっていきます。
断片的な機能の理解で終わらせず、Web全体の流れを俯瞰することで、はじめてこの1行の意味が立体的に見えてくるのです。
命名の背景にまで理解を深める
それだけに理解は留まりません。
「なぜこのメソッド名が resources なのか?」
その名前の背景をたどっていくと、REST という根底の概念が見えてきます。
すべての情報は“リソース”であり、Webで扱うのは、そのリソースに対する操作である――。
この考え方を理解することで、resources というメソッド名に込められた意図や意味が明確になります。
命名の背景まで掘り下げることで、ただの文法としての理解にとどまらず、コードが持つ本来の目的や設計の意図まで見えてくるのです。
理解を超えて姿勢を育てる
ここで辿り着くのが「名前重要」という考え方です。
メソッドやクラスの命名の背景を掘り下げることで、その意図や思想を理解できるようになります。
そして、自分が命名する立場になったときも、とことん名前にこだわる姿勢が大切です。
このように、エンジニアとしての姿勢や考え方にまで踏み込みながら、教育を行っています。
AI時代だからこそ1行のコードの理解に拘り抜く
RIZAPの育成は、コードの動かし方を教えるだけではありません。
1行のコードに込められた意味を、背景から思想まで徹底的に掘り下げることで、“なぜそう書くのか”を自分の言葉で説明できるエンジニアを育てています。
時間をかけて考え抜き、体系的に理解を積み重ねることこそが、実務で通用するエンジニアの土台を築くのです。
まるで“台本”のような育成マニュアル
RIZAPでは、この育成プログラムの内容をすべて社内ドキュメント化しています。
各課題に対して「どこまで理解できれば合格か」「曖昧なときの確認方法」「おすすめの書籍」まで明記。
メンターはこのマニュアルをもとに、誰が教えても同じ質で教育できる仕組みを整えています。
このマニュアルはあまりに細かく、まるで台本のような内容になっています。
実際のアウトプット例や想定質問、フィードバックの観点まで記載されており、育成を「属人化させない」ためのノウハウが詰まっています。
「書くまで帰れない」日報文化
内定者インターンの期間中、インターン生は毎日30分以上かけて日報を書きます。 「今日学んだこと」「理解できたこと」「まだ曖昧なこと」を整理し、言語化してアウトプットすることが、エンジニアとしての成長に直結すると考えています。
そして、日報を書き終えるまでは退勤できません。
一見ストイックですが、このプロセスこそがエンジニアとしての成長を飛躍的に加速させると、私たちは確信しています。
これまでのインターン生を見ても、丁寧に日報を書いた人ほど、成長のスピードが圧倒的に早いことがわかっています。
急成長の裏にあるのは地道な基礎の積み重ね
このようにRIZAPでは、1行のコードの理解においてもとことんこだわり抜き、日々学んだことを日報という形で整理していくことで、エンジニアとしての急成長を実現しています。
さらに、この研修を内定者インターンという形で入社前から実施することで、ポテンシャル人材であっても、入社後すぐに実務で活躍できる体制を築いています。
入社後もエンジニアの成長は続いていく
RIZAPのエンジニア育成は、研修で終わりではありません。
入社後の実務においても、日々の学びと成長を後押しする仕組みを設けています。
その代表的な取り組みが、「分報」です。
分報とは、タスクを進める際に「これやります」「これ終わりました」といった報告を、気軽に呟いていくためのチャンネルです。
同じチームの少人数で運用するプライベートなチャンネルで、雑談もOK。
堅苦しくない雰囲気のなかで、日常的にコミュニケーションを取れるようにしています。
「分報」は、細かな業務報告を目的としているわけではありません。
日々のやりとりを通して、チーム内に“心理的安全性”を生み出すことが目的です。
こうした環境があることで、悩んだりつまずいたときにも一人で抱え込まず、気軽に相談し合える関係が自然と生まれます。
お互いをフォローし合う文化がチームに根づき、円滑なコミュニケーションやチームビルディングが、プロジェクトの推進力やエンジニアの成長スピードを大きく高めているのです。
“育てる文化”がDXを加速させる

RIZAPには、急成長を続ける仕組みがあります。
その背景には、互いに寄り添い、支え合う文化が根づいており、それがDXの推進を加速させています。
今回のRubyWorld Conference登壇を通して、私たちが大切にしている「育てる力」を多くの方に届けられたことを嬉しく思います。
これからもRIZAPは、Rubyと共に、エンジニアの成長とDXの推進に挑み続けます。
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