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2026.06.08
インタビュー

コードを書く人から、課題を見つける人へ。AIが教えてくれた、エンジニアの本当の仕事

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コードを書く人から、課題を見つける人へ。AIが教えてくれた、エンジニアの本当の仕事

全国1900店舗以上*1のchocoZAPを支えるバックエンドユニットではいま、AIの活用によって開発の景色が大きく変わりつつあります。以前なら数年がかりだった基幹システムを半年で初期リリースし、新規企画は2週間でプロトタイプを作って経営層に披露する。チームが整備してきたガイドラインはそのままAIへのプロンプトに変わり、Claude Code(AIエージェント)が実装を進めている間に、エンジニアは物流倉庫や店舗に出向いて課題を発見しに行く――。コードを書くだけのエンジニアから、「何を解決するか」を決めるエンジニアへ。

chocoZAPバックエンドユニット長の梅田に、AI時代のエンジニアの仕事を聞きました。

 

「AIにエンジニアの仕事、奪われる?」と聞かれて思うこと

―― はじめに、自己紹介をお願いします。

梅田:プロダクト開発統括1部のバックエンドユニットでユニット長をしている梅田です。chocoZAPのモバイルアプリのバックエンドや、店舗のIoT連携、会員基盤など、サービスを支える幅広い領域の開発・運用を担当しています。

―― 新卒のエンジニア志望者から、「AIに仕事を奪われる不安」をよく聞きます。実際、どう感じていますか?

梅田:正直に言うと、私も同じ立場だったら同じことを考えると思います。コードを書くという仕事は、確実にAIに置き換わっていく部分があって、それは事実です。

ただ、ここでひとつ大事なことがあります。AIが代わりにやってくれるのは、「オンラインで完結する仕事」です。たとえばオンラインで食事のアドバイスをもらうとか、体重計測の結果を分析するとか、こうした仕事はAIで十分やれる時代になっていきます。

でも、リアルな店舗を全国に持っているchocoZAPみたいなビジネスは、AIだけでは動きません。実際にお客様が来店して、マシンを使って、トレーニングをする。その現場のオペレーションを、どうAIで超高生産性に運営していくか――。ここはまだまだエンジニアの腕の見せ所が残っている領域です。

だから私は、AI時代こそ、リアルの世界で事業を持っている事業会社のエンジニアって面白いポジションだと思っています。

 

2週間でプロトタイプ、半年で基幹システム

―― AIを使った具体的な開発エピソードを教えてください。

梅田:分かりやすい例を挙げると、私たちはいま基幹システムを内製で開発しています。これは以前ならどう考えても「数年プロジェクト」になる規模です。それが、AIを使うことで、半年で初期リリースできるところまで来ています。

―― 半年で基幹システム……ですか。

梅田:はい。これまで私たちは外部の協力会社さんにシステム開発を手伝ってもらうことが多かったのですが、AIが登場してから、自分たちでできることが一気に増えました。難しすぎて手が出せなかったものも、人手が足りなくてあきらめていたものも、内製で作れるようになりました。AIのカメラシステム、タブレットの広告配信システム、いま走らせている基幹システム……どんどん自社で作っています。

開発のスピード感も変わりました。事業部に新しい企画の話が降りてきたら、まず2週間でプロトタイプを作って、経営層に披露する。そのプロトタイプを叩き台にして企画を練り直し、エンジニアと事業部が一緒にプロダクトを作っていく。こういう動き方が、いまの当たり前になっています。

 

ガイドラインが、AIへのプロンプトに変わった日

―― ここまでの開発スピードを支えている仕組みについて、もう少し聞かせてください。AIをチームで使う場合、想定外の実装が返ってきたり、出力にばらつきが出たりという課題もよく聞きます。

梅田:はい、私たちもそこは強く意識してきました。多くのチームが同じ壁にぶつかります。「とりあえずAIにコードを書かせる」のではなく、AIに何をどう指示するかをチームで設計しないと、品質も再現性も保てません。

私たちのチームの場合、AI導入以前から開発のガイドライン整備に力を入れてきました。使用する言語やフレームワークの特性を踏まえた開発方針を定めて、チームの議論で生まれた判断をその都度マニュアル化してきた。似たような場面での意思決定が速くなる仕組みが、すでに用意されていました。

AIが入ったことで、この仕組みの意味が変わりました。マニュアルに「○○の場合は○○の方針で」と書いてあったものが、そのままAIへの指示になる。ガイドラインを読んで解釈してコードを書いていた部分が、AIへのプロンプトに置き換わったわけです。

―― 具体的にはどのAIをどう使っているのでしょうか。

梅田:メインで活用しているのは「Claude Code」というAIエージェントです。以前からChatGPTやGitHub Copilotも導入していましたが、自律的に作業を進められるClaude Codeに軸足を移しました。

その上で、Claude Codeの2つの機能に明確な役割分担を与えています。

  • スキルコマンド:マニュアルごとに専用コマンドとして整備。対応するコマンドを呼び出すだけで、マニュアル準拠の実装が生成される
  • サブエージェント:独立したコンテキストで動作するため、会話が長くなってもガイドラインから外れにくい。ガイドライン準拠のレビューに最適

スキルコマンドで実装を生成し、サブエージェントがレビューと修正を行う――このサイクルをAIが自動で回している間、エンジニアはビジネスロジックと向き合う、という分業をしています。

―― 開発スピードだけでなく、成果物の品質も上がりそうですね。

梅田:はい。分かりやすい例が、API設計書の作成です。人が書くと、同じ情報が複数箇所に散らばったり、重要な情報が埋もれたりすることがあります。「読みやすい設計書を書くこと」自体が、チーム内で課題でした。AIが生成すると、情報が整理されて構造化され、重要な箇所も見落とされずに書かれます。設計書の品質を上げることに、誰も時間を使わなくて済むようになりました。

処理フローの図も同じです。以前は箇条書きで書いていて分かりづらかったフローを、AIがフローチャートに起こしてくれるので、格段に読みやすくなりました。その時間で、エンジニアは要件の妥当性を考えられるようになっています。

 

エンジニア8人が、物流倉庫と店舗に出かけた話

―― 実装以外の部分で、AIによって何か変わったことはありますか?

梅田:これがけっこう、おもしろい話です。AIで開発の生産性が上がったので、「空いた時間で何をするか」がすごく大事になってきました。

うちのユニットでは、エンジニア8人が実際に物流倉庫やchocoZAPの店舗に出向きました。

―― エンジニアがですか? 珍しいですね。

梅田:はい。物流倉庫に行ったメンバーは、実際に在庫管理の業務をやりながら、何が問題なのかを肌で感じてきました。たとえば、トラックが倉庫に到着する時間が事前に分かりません。いつ来るか分からないから、現場の人は常に待機しなきゃいけない。

そして、在庫の管理がほぼExcelで動いていました。エンジニア視点で見ると「いやこれシステム化されているのが当たり前でしょ」という内容ですが、実際に現場に行くと、けっこう力技だったり、手作業が多かったりします。

店舗のほうにも別のメンバーが入りました。実際に清掃をしたり、備品を補充したり、店舗オペレーションを体験してきた。すると、店舗によってバックヤードの整理状況が全然違うこと、マシンの配置が利用しにくいパターンがあること、お客様目線・現場目線でしか見えてこない課題がたくさん見つかりました。

 

PMが「困りごとありませんか?」と聞いたら、「ありません」だった

―― 現場で見つかる課題と、事業部から聞く課題は違うものなんでしょうか?

梅田:実はこれ、おもしろいエピソードがあって。1年くらい前、うちのPMが事業部に「困りごとありませんか?」と聞きに行ったことがありました。そうしたら、「ありません」と返ってきました。

―― 「ありません」ですか。

梅田:はい。でも、実際にエンジニアが現場に入って一緒に働いてみたら、Excelで右から左にデータを転記する作業がいっぱい残っていました。

これって、IT業界でよくある話です。お客様は、自分が必要としていることを必ずしも言葉にできません。自動化できることを知らない人にとっては、Excelの転記は「困りごと」ではなく「ただの業務」ですから。

だから、ヒアリングだけで課題を探すやり方には限界があります。エンジニアが現場に入って、自分の目で「これってシステムで解けるじゃん」と気づく。課題の発見から、エンジニアの仕事は始まっている。これが、AIで生産性が上がったからこそチャレンジできるようになった、新しい働き方です。

 

コードを書く人から、何を解決するか考える人へ

―― AIが入ってから、梅田さん自身の働き方はどう変わりましたか?

梅田:もう、考えていることが180度変わりました。

以前は、ひたすらコーディングです。「この要件に沿った設計はどうするか」「この処理をどう書くか」――頭の中で考えていることの大半が、「どう実装するか」でした。

それがいまは、「そもそも何を作るべきか」「本当に価値のあるものは何か」を考える時間がぐっと増えています。バックエンドのメンバーが現場に出ていって、自分でプロトタイプの絵を描いてみる。「こういう姿があるんじゃないか」「いや、もっとこうあるべきじゃないか」と議論する。

プログラミングは、あくまで手段です。価値あるものを開発するための。コードを書くだけのコーダーから、課題を解決する仕事をする人になれている――いまは、そんな感覚です。

バックエンドという仕事は、ビジネスロジックに直結する領域を担います。単にコードを書くだけでなく、サービスをどう良くするか、本当に解決すべき課題は何か、と向き合うのが本来のバックエンドエンジニアの仕事だと思っています。AIに実装を任せられるようになって、ようやくその「本来の仕事」に時間を使えるようになりました。

―― 最後に、新卒のエンジニア志望者へメッセージをお願いします。

梅田:RIZAPは事業会社なので、開発するシステムがビジネスに直接影響します。だからこそ「どう実装するか」だけでなく「何を解決するか」を考えながら開発する文化があります。

chocoZAPは、いま110万人*2ものお客様の日々の行動を変えているサービスです。自分の書いたコード、自分の考えた仕組みが、リアルの世界でお客様の生活を変えていく――これは、オンラインだけで完結するサービスでは絶対に味わえない楽しさです。

AIが進化したからこそ、エンジニアが「本質的な課題解決」に集中できる時代になりました。実装力だけでなく、ビジネスロジックを深く理解してプロダクトを良くしていきたい――そんな人と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

*1 2026年5月時点
*2 2026年5月時点

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